はじめに
台風の接近が多い季節や、急激な気圧の変化がある時期、「なんだか体が重い」「気分が落ち込む」「頭痛やめまいがする」といった不調を感じたことはありませんか?
近年、気圧や温度・湿度の変化によって心身に不調が現れる現象は「気象病」や「天気病」と呼ばれ、注目されるようになってきました。
特に、精神障害や発達障害を持ちながら就労されている方(または就労を目指されている方)にとって、気象の変化は自律神経の乱れを引き起こし、心の安定や業務への集中力に大きく影響することがあります。
今回は、台風シーズンを乗り切り、安定して働き続けるために大切な「自助(自分でできる対策)」と「共助(職場や周囲のサポート)」のポイントをご紹介します。
なぜ台風や気圧の変化で体調が崩れるの?
人間の耳の奥にある「内耳(ないじ)」には、気圧の変化を感知するセンサーがあります。台風などによって気圧が急激に下がると、このセンサーが脳に過剰な信号を送り、自律神経のバランス(交感神経と副交感神経の切り替え)が乱れてしまいます。
その結果、以下のような症状が出やすくなります。
- 身体的症状: 頭痛、めまい、倦怠感、肩こり、関節痛、関節の痛み
- 精神的症状: 気持ちの落ち込み、不安感、イライラ、集中力の低下、強い眠気・不眠
「自分の意志や気持ちの持ちようの問題」ではなく、「気圧の変化による自律神経の生理的な反応」であることを知っておくことが、まずはとても大切です。
【自助】自分でできる事前準備とセルフケア
不調をゼロにすることは難しくても、事前に予測して備えることで影響を最小限に抑えることができます。
1. 天気予報・気圧予報アプリの活用
気圧の変化を予測するアプリを活用し、「いつ気圧が下がるか」をあらかじめ把握しておきます。「明日は気圧が下がるから不調が出るかもしれない」と予測しておくだけで、突然の不調に対する心理的負担や不安が和らぎます。私自身も「頭痛ーる」というアプリを使って体調管理しています。
2. 自律神経を整える日常の習慣
- 耳のストレッチ: 両耳をつまんで上下左右に軽く引っ張ったり、回したりすることで、内耳の血流を促します(頭痛やめまいの予防に効果的です)。
- 温活・体を温める: 温かい飲み物を飲む、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるなどして体を温め、リラックスモード(副交感神経)を高めます。
- 決まった時間に起きる・太陽の光を浴びる: 自律神経のリズムを崩さない基本です。
3. 「60点の自分」を許す
気象病の影響が出ている日は、「普段通りの100%のパフォーマンスを出そう」と焦らないことが大切です。「今日は体調を維持して無事に一日を終えられれば合格」と考え、無理のない作業ペースに調整しましょう。
【共助】職場や支援者と一緒に取り組むサポート
気象病による不調は、外見からは見えにくいため、周りの理解とサポート(共助)が不可欠です。
1. 不調の「サイン」や「トリガー」を共有しておく
あらかじめ支援者や上司・同僚と、「気圧が下がると頭痛が出やすい」「天気が悪い日は集中力が落ちやすい」といった自分の傾向を共有しておきましょう。事前に伝えておくことで、体調不良時の相談や報告がスムーズになります。
2. 業務内容や働き方の柔軟な調整
- 作業内容の切り替え: 思考力や判断力が必要な複雑な作業は避け、単純作業やチェック業務などに切り替えられるか相談してみましょう。
- 小休憩の導入: 1時間に数分程度、目を閉じたり深呼吸をしたりする小休憩を取り入れられるよう調整します。
- 出勤時間・勤務形態の配慮: 台風接近時などは無理な通勤を避け、時差出勤やリモートワーク(可能な場合)、あるいは早退や有休取得をスムーズに判断できる体制を整えておくことが安心につながります。
3. 周囲の理解と「声かけ」
職場側・支援側としては、本人が「怠けているのではないか」と自分を責めてしまわないよう、「今日は気圧の変化が大きい日だから、無理せず声をかけてね」といった温かい声かけや配慮が求められます。
おわりに
気象による体調の波は、決して個人の努力不足や怠慢ではありません。大切なのは、「天気のせいで不調になる自分」を肯定し、適切に対処する術(すべ)を身につけることです。
ご自身の体調の波を理解する「自助」と、困ったときに周りに助けを求められる環境をつくる「共助」。この2つの車輪をうまく回しながら、台風シーズンも無理なく、安定した就労を目指していきましょう。
RATE+では、お一人おひとりの体調の波や特性に寄り添い、安心して働き続けられる環境づくりやセルフコントロールのサポートを行っています。「天候による体調不良で仕事が続きにくい」「自分に合った働き方を見つけたい」とお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

